ももいろかんづめ

病院であった興味深い話や漫画家の夫を応援する漫画を描いてます

私のおばあちゃん~イレッサと使われなかったパンフレット~

こんばんは、ゆつきです。

こつこつはてなブログの漫画保管庫計画を進めたかったんですが、

今週のお題「おじいちゃん・おばあちゃん」

このタイミングでこのお題が来るとは…もしや祖母からの何らかのメッセージ…!?というわけで、書いていきたいと思います。

 

 1.私のおばあちゃん

 

 今年の6月、祖母を癌で亡くしました。父方の祖母で、すでに祖父や母方の祖父母は亡くなっているので、最後のおばあちゃんでした。

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(↑「祖父の七回忌」より抜粋。後日アップします)

 9歳くらいまでは一緒一緒に暮らしていたんですが、父の仕事や諸々の事情で別に暮らすようになりました。優しいおばあちゃんタイプではなく、初孫でしたが特に甘やかされわけでなく…女に生まれてきたり、ナースになったり、祖母の期待にはほとんど添えなかったので、孫の中ではあまり好かれているほうではないという自覚がありました。

 祖父とは上京しても結婚しても文通を続けてましたが、祖母から返事がもらえたのは仕事で昇任した時だけでした。結婚してからは、孫ができない後ろめたさから毎年帰省だけはしてましたが。

 

2.祖母の病気

 

 祖父の七回忌が無事終了した頃、祖母の病気は発覚しました。肺がんでした。

 実は私の看護経験の約半分は呼吸器内科勤めなので、ずっと期待に添えない孫だったけれど、今回だけは祖母の役に立てるのでは?と不謹慎ながらも腕に力がこもったものです。わりとメジャーな病気だと思うんですが…患者本人やご家族にとっては初めての体験なので、よく分からないことの連続のようです。我が家も例外なくそうでした。

 「今まで知らんかったんやけど、肺がんって遺伝するんやな…」それを物語る、父の代表的な一言です。おそらく、遺伝子変異の検査の話をされたんだと思います。

f:id:momoirocanzume:20180915222753j:plain  発見時ですでに遠隔転移もしている状態で、高齢、かつ昨年から足の調子も悪かったりしたので、点滴の抗がん剤はおそらく難しい状態でしたので、分子標的薬が使えるというのは朗報でした。

ですが、そうは言っても転移はあるし、余力も少ないし、いくら好かれていないとはいえ、もう一度生きてる内に帰りたかった…

父「先生はまだ何年も生きられるって言ってるし、ゆつきが帰ってきたら、もう先が長くないって落胆してしまう。いつも通り、帰省は夏でええで」

夏…まだ6ヶ月近くある…実際のおばあちゃんを見てるわけじゃないから断言はできないけど、妹から聞く情報ではそこまでもつ印象はしない…

父くらい説き伏せて帰省しても良いんですが、父「おばあちゃんも仕事がんばってくれてるほうが喜ぶし」の言葉には勝てず、東京からの援護を決めました。

 

3.イレッサと使われなかったパンフレット

 

検査の結果、祖母の抗がん剤イレッサに決まりました。

飲み薬の抗がん剤です。飲み薬と聞いて侮るなかれ…効く人にはめっちゃ効果が出る場合もあるし、副作用も出る人にはしっかりです。

主に介護をしている叔母や父がセルフケアなどきちんと教わってるか、実践してるか、いろいろ尋ねても「そんな話聞いたことない」「初めて聞いたわ」みたいな反応ばかりで…1つ1つ電話やメールで質問に答えたり、説明したりしてたのですがラチがあかず我が家用のパンフレットを作成しました。

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父「先生とか看護師さんから言われてることと違うことして、見放されたら嫌やし…」

……そんなことで当院では患者を見放したりしませんし、そもそも私がいつも患者様やご家族に指導している内容なんですが……

医療者とはいえ、所詮は人の子。副作用の1つでも予防してほしいと食い下がりましたが、父全く聞き入れず。ともかく、私の企ては実らなかったのです。

 

4.祖母の葬儀

 そして最期の日が来てしまいました。私の記憶の中で最後に会った祖母は元気だったわけで。予測はしていたものの実感は湧かず…

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少しだけ涙が出ました。

でも、地元を離れたら…またひょんなタイミングで「今年はいつ帰ってくんの?っておばあちゃん言ってるで」って父から連絡があるんじゃないかってまたわかんなくなりました。